エシカルファッションやエシカル消費という言葉は、日本でも徐々に広がりつつありますが、その認知度や実践状況には大きな世代間格差が存在します。本記事では、日本におけるエシカル商品の世代間格差に焦点を当て、その現状と課題について探っていきます。

高齢者と若年層のエシカル消費に対する意識と実践の違い

日本では、エシカルファッションやエシカル消費の認知度において、世代による明確な違いが見られます。令和3年度の消費者調査によると、高齢者層（50代・60代）はエシカル消費に対する認識が比較的低く、日常生活においてもエシカルな選択を実践する機会が限られていることがわかりました。これに対して、若年層（10代・20代）はエシカル消費やサステナブルファッションに対する意識が高く、環境問題や社会的課題に敏感であるため、エシカルな選択を積極的に行っている傾向があります。

高齢者のエシカル消費の実態

高齢者層においては、エシカル消費という概念自体が浸透しておらず、消費行動においても従来の価値観が根強く残っています。例えば、衣服の購入に際しては「価格」や「デザイン」を最重視し、エシカルな要素（リサイクル素材の使用、耐久性など）への関心は低いことが特徴です。また、古着の購入に対する抵抗感が強く、新品を好む傾向が見られます。

高齢者がエシカル消費を実践しない理由として、「価格が高い」、「どのような商品がエシカル消費につながるか分からない」といった課題が挙げられます。この世代にとって、エシカル消費はまだ遠い存在であり、情報不足や価格の問題が大きな障壁となっています。

若年層のエシカル消費の実態

一方、若年層はエシカルファッションやエシカル消費に対して非常に高い関心を持っており、これを積極的に実践しています。リサイクル素材を使用した製品や環境に優しい製品を選ぶ意識が強く、古着の購入やフリーマーケットアプリの利用にも抵抗が少ないです。また、SNSの普及により、エシカル消費がトレンドとして若者の間で広がりやすくなっています 。

しかし、若年層でも価格の高さがエシカル消費の障壁となることがあります。それでも、この世代は情報収集力が高く、エシカルな商品やサービスを見つけて実践する意欲が強いため、エシカル消費をトレンドとして取り入れる柔軟性があります 。

世代間格差の背景と課題

高齢者と若年層のエシカル消費に対する意識や実践の違いは、エシカル消費がまだ一般的な価値観として広がっていないことを示しています。特に高齢者に対する啓発や情報提供が不足しており、エシカル消費が彼らにとって身近なものとして認識されていないことが課題です。また、若年層のエシカル消費をさらに促進するためには、手頃な価格でエシカルな商品を提供することが求められます。

今後の展望と必要な取り組み

エシカル消費を広く普及させるためには、世代間の意識のギャップを埋めるための取り組みが不可欠です。特に高齢者に対するエシカル消費の認識向上と実践を促すためには、情報提供や啓発活動が重要です。また、若年層の積極的なエシカル消費をサポートし、さらに広めていくことも重要です。行政や企業が積極的に関与し、消費者がエシカルな選択をしやすい環境を整えることで、日本全体としてエシカル消費が根付くことが期待されます。

引用元:

• 令和3年度サステナブルファッション消費者調査結果報告
• 「倫理的消費（エシカル消費）」に関する消費者意識調査報告書